Greeting

ご挨拶

ご挨拶

SLA Bimler研究会

会 長

伊藤 率紀
ITO RITSUKI

伊藤矯正歯科医院 院長

SLA Bimler研究会のホームページにようこそいらっしゃいました。本研究会は矯正歯科界に新しい風を送り込むべく2014年4月に発足しました。その背景について少しお話したいと思います。

近年我が国の生活水準が高度化したのに伴い、歯科界では虫歯が減少した一方、八重歯や受け口などの悪い歯並びが注目を集めるようになりました。悪い歯並びを専門的には「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼び、古来より様々な治療法が考え出され、近年では著しい治療効果を見るようになりました。しかし今なお厳格な意味では、不正咬合を完治できる矯正歯科治療法はまだ確立されていないと言えるかもしれません。なぜなら専門的にみて現代矯正には、次の点でまだ疑問が残っているからです。すなわちその疑問とは、

1

治療により得られた綺麗な歯並びを、「保定」も含めてすべて矯正治療が終わったのちも、後戻りがないよう安定させることができるか?(「保定」とは矯正治療に用いたメインの装置を外した後に、元に戻らないよう取り外し式の装置を使用したり、歯の裏側にワイヤーを貼り付けたりする最終的な処置のこと)

2

歯並びは治ったが、治療に用いた装置により虫歯を発生することはないか?

3

歯並びは治ったが、矯正治療により歯根(しこん;歯の根っこ)が短くなることはないか?

4

歯並びは治ったが、歯ぐきや歯槽骨(歯を支える骨)も含めて健康な歯並びになっているか?

5

上下の歯がしっかりとコンタクトして咬合しているか?

6

機能的な問題はないか?etc....

逆に言えば、現代矯正では確かに歯を綺麗に並べる技術は確立されてきたが、

1

治療後に後戻りが見られることがある

2

治療に用いた装置により虫歯ができることがある

3

治療により歯根が短くなることがある

4

歯ぐきや歯槽骨への配慮が十分とは言えない

5

上下の歯がしっかりコンタクトしていないことがある

6

機能的に完全ではないことがある

以上の状況が散見されるのが、残念ながら矯正治療の現状なのです。
不正咬合も歯科疾患のひとつであり、どんな疾患もそうであるように不正咬合も簡単に治る疾患ではありません。矯正歯科治療とはただ歯を綺麗に並べれば済む治療ではなく、それと同時に「虫歯や虫歯の治療痕はなく美しいエナメル質が維持されている。」、「歯ぐきや骨も健康である。」、「何でもしっかりかみ砕くことができる。」そして「健康な歯がいつまでも維持されている。」などの条件が達成されて、初めて理想的な歯並びになったと胸を張れるでしょう。
残念ながら我々SLA Bimler研究会はまだ発足したばかりで、それらをすべて実現した研究会では決してありません。むしろ、安全に矯正治療を推進するために考案されたSLAやBimlerなどの、歴史はあるがまだ広くは知られていない装置を使って、できるだけ健康的に矯正治療を進めようという考えのもと、駆けだしたばかりの研究会です。しかしどうか始まったばかりだからと言って見下すのではなく、また新しくて良さそうだからと言って過信することなく、医患どちらのサイドからも関心を持って頂けたら幸いです。